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アセトアミノフェンの「重篤な腎障害のある患者」の「禁忌」解除

本件については,学会としてもこれまでオピニオンを掲示しており,本改訂にもそれが反映されたものとなっています。

<オピニオンの要点>
1) NSAIDsと比べて,腎障害,消化管出血や体液貯留などの影響が少ない。
2) 末期腎不全患者では,連続投与で,腸肝循環により,トラフ値が上昇し,AUCも約1.85倍になる (Eur J Clin Pharmacol 36: 291-297, 1989)ため,高用量長期投与する場合は,有害事象の出現により留意する。

ただし,禁忌が解除されても以下の注意点を理解する必要があります。
1) 患者に応じて,投与量及び投与間隔の調節を考慮する*。
2) トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン配合剤については,トラマドール及び活性代謝物が蓄積するため,配合剤を用いず,個別の製剤を用いて用量調節を考慮する。

*補足: 腸肝循環による血中濃度上昇は,連続投与により少しずつ断続的に生じるものです。投与初期であれば,投与間隔を延長することで,むしろ次回の投与までに十分な鎮痛効果が得られない懸念が生じます。また,疼痛の程度により,患者毎に用量は様々です。そのため,一律の減量方法(投与方法)は,設定できないと考えてます。しかしながら,高用量長期投与となった場合には,血中濃度上昇による有害事象の出現リスクが高くなる可能性があるため,十分に観察の上,投与量及び投与間隔の調節により,有害事象の重篤化回避に努めることが必要と考えます。

なお,本学会の腎機能別薬剤投与量一覧も,添付文書改訂に合わせ「禁忌」の記載をなくします。