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理事長挨拶

日本腎臓病薬物療法学会 理事長 平田純生 (熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター・臨床薬理学分野)

 2018年の一般社団法人日本腎臓病薬物療法学会(JSNP)学術大会・総会におきまして、3期目の理事長に就任することになりました。当学会は2006年に7つの地域腎薬が集まり「日本腎と薬剤研究会」として結成され、2012年に13の地域腎薬によって学会となり、設立当初400人足らずの会員数は2014年には1000人、2017年には2000人を超え、2018年には2500名に達し、同年10月には浜松で第12回の学術大会・総会を開催しました。

 近年、学会乱立が批判されることがありますが、JSNPは1999年の関西腎と薬剤研究会の結成から徐々に全国に波及し2018年の総会時には27の地域腎薬の仲間が集まって結成されています。このような地域の研究会と結びついている学会は他に類を見ません。これらの地域研究会はJSNPの支部ではありませんが、学会を作っている仲間です。JSNPはまさに地域のみんなが寄り添ってみんなで作ったものです。地域間の連絡・協議する機会を持つことによって各地域を活性化し、人材を育成し、埋もれているかもしれない優れた人材を発見し、さまざまな場面でJSNPと地域腎薬が有機的に協力し活性化しあえればと思っています。

 JSNPの使命は腎疾患時の薬物療法に関する幅広い教育・研究を行うことによって、医療に貢献することにあります。この使命を達成すべく①腎機能低下患者の中毒性副作用の防止、②薬剤性腎障害の防止、③薬物療法によるCKDの発症・重症化予防、心血管合併症の予防、④透析患者の合併症に対する最適な薬物治療の提供を目標に研究・学習活動を推進してまいりました。

 現在、我が国は未曽有の超高齢者社会を迎えています。腎機能は加齢とともに低下しやすく、薬物動態に影響します。また高齢者のサルコペニアは腎機能の過大評価、それによる過量投与・薬剤性腎障害という問題も懸念されますので、これからは「⑤腎機能の正確な評価」も重要な課題の1つにしたいと思っています。これらの課題は日本腎臓学会や日本透析医学会などと協調して取り組んでいくべき課題と考えます。

 学会設立当初より目標としてきた腎臓病薬物療法認定薬剤師数は専門薬剤師も併せると150名を超えていますが、まだまだ十分な数ではありません。そして2018年には日本腎臓学会、日本腎不全看護学会、日本栄養士会、JSNPの4団体で腎臓病療養指導士制度を立ち上げ、NPO法人日本腎臓協会によって腎臓病療養指導士が認定され、第1回の試験合格者743名のうち20%の146名が薬剤師です。これらの実力ある薬剤師の今後の活躍に期待したいと思います。

 我々の作成したデータベースの中で医療従事者が最も活用されているのは「腎機能別薬剤投与量一覧」だと思います。定期的に学会誌に掲載され、動態情報も含んだグリーンブックが2年に1回配布されています。一覧表の内容は会員の皆様によるパブリックコメントにより改訂ごとに、正確なものになっています。今後は遅れがちであったホームページへの掲載を早めに改訂したいと考えています。

 JSNP会員は圧倒的に薬剤師・実務家が多いため、国際交流は遅れておりました。海外にもJSNP同様の団体がアクティブに活動しています。学会は研究成果を発表し、討議・論議して多くのことを学び、自己研鑽するための場ですから今後、海外との交流も重要課題と考えます。

 ガイドライン対策・作成委員会は薬物療法に関わる診療ガイドラインのパブリックコメントの募集に対してアクティブにコメントを提出しています。最近はこのような活動が他学会からも認識され、他学会から本学会に対してガイドラインの査読依頼が来るようになりました。また他学会の依頼によりJSNPからガイドライン作成委員を派遣することも増えつつあります。特に薬物動態に関する記述に関してはJSNPの得意とする部分ですので、非常に重要な活動と認識しております。

 2007年から務めてきたJSNPの理事長(旧日本腎薬では会長)として、2020年の徳島大会総会までの最期の2年間はまさに集大成の年になります。腎臓病の薬物療法をよりよくするために、多くの方々・団体と協調して全力で取り組んでいきたいと思います。今後とも、本学会の活動や運営に対する会員の皆様方の御理解、御協力、御指導の程よろしくお願い申し上げます。